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5月29日パリ時刻深夜2時半。
ほんの数時間前までは、マラケシュにいた。
確かにそうだったはず。

マラケシュから、4,000M級の赤い岩肌の険しくも細いぐねぐねと曲がりくねったアトラス山脈を超え、延々と広がるカラカラに乾いた大地をひたすらに走り、サハラ砂漠を東へ、アルジェリアの国境地帯をまわって無事にマラケシュへたどり着くまでの3日間の旅。
今だかつて経験したこともないような怒濤の時間、私達はこれからいったいどうなるんだろう。。。
無言のままに、一抹の不安と
目の前で白い歯を見せてニコニコ呑気に笑う、
陽気で可笑しな野生児の男二人を信じるしか、もうなすすべはなかった。

もしもあの時、あの10時のバスに乗っていなかったら。。。
もしもあの時、あのバスが故障していなかったら。。。

きっと、自称ノマドだと偽りやたら親しげに話をするその男、鼻はひん曲がり、酒と薬でボロボロになった歯を見せ笑うずるがしこい商人にまんまと騙されて、
抵抗する私達は、ワルザザードの村から荒れ果ての地、サハラ砂漠に捨てられていたかもしれない。。。

あーーーーーー、ほんとバカだった。。。!(なぜ彼を信じたかも、今だ自分達が信じられないが)

が、しかし!

最強の旅の守り神がついている事を今回改めて思い知った私たち。
モロッコの先住民族ベルベル人(幼い頃はノマドとして、ヤギを引き連れサハラで生活していた)、アブラハムとアブドゥという名の、頼もしくて心優しき二人に助けられたというわけです。

無事にパリへ戻ってくることができて良かった。ほんとーうに良かったっ!


d0033698_9552088.jpg延々と続く赤土の乾いた大地に、力尽き横たわる、しっぽの毛だけがわずかに残る野生のラクダの屍を横目に、カセットテープから流れてくる軽やかに響くパーカッションと騒がしい歌声、
ノンキに陽気に笑う、二人の男達。
荒れ果てた大地を走りながら、砂漠の花を見つけると、
「あー、ここには水があるんだね!」
と、ホッと安心してみたり。



砂嵐にのみこまれそうになって、目をしかめ顔をこわばらせ、
ワラのようにガシガシのバサバサになった髪を束ね、
頬やおでこに降り積もる砂を、砂で汚れた手でこすり、
歯に砂のはさまった口の中に、砂入りの食べ物をほうりこむ。
埃や虫やいろんなものが入り交じった井戸水が流し込まれた胃腸の中は、
ぎゅるぎゅる異様な音をたて、すさまじい事になっていた。
「トイレットペーパーと薬、持ってきてたのが救いだったよね!」
もう、笑うしかなかった。。。

平へい凡ぼんに、平和な国でシステマティックな教育を受けて
ごくごく普通に生きてきたこの女ふたりは、
動物や自然とともに暮らしてきた彼らは驚きの偉人でしか思えなかった。

すごすぎる。。。


d0033698_9553533.jpg「何も恐れてはいけないよ。。。
恐れたら、人は死ぬんだよ。。。
自由でいよう。。。
お金も物も、何もいらない。。。
水と大地と太陽と、大きな空と満天の星空があればそれでいい。。。」と。








「2ヶ月かけて、アトラスの山を登ろう。
ヤギを100匹用意するよ、もうどこにも行かなくていいよ。
うちにお嫁にくるんだよ。僕たちに家はいらない。
自由に、どんなとこでだって暮らせるよ。。。」だって。。。

おーーーーーーーーーーい、勘弁してくれーーーーーー。。。
あまりに生きてきた文化が違いすぎる。

澄んだ瞳と、彼らの知性と誇らしげな態度には、ほんと頭が下がったけれど。
人生を楽しみ、勇気と誇りをもって堂々とたくましく生きるということ、
そして、人間のやさしさとずる賢さと。。。
いろいろな事を教えられた。


歌って手をたたき、たくさん笑ってふざけあって。。。
きっとずっと一生忘れない、これは愉快な旅だったんだ!

。。。。。と、今は笑ってそう言える!
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by coCo-ni-iruyo | 2006-05-29 12:00 |
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